NARIAGARI TRIANGLE Vol.1 10th Anniversary Edition 解説<音質について>
カセットテープには4種類あります。Type1(ノーマルポジション)、Type2(ハイポジション)、Type3(現在はない)、Type4(メタルポジション)です。このタイプをカセットデッキに自動判別させるために、カセットテープの底面に穴が開いています(カセットデッキのこの機構をオートテープセレクタと言います)。具体的には、
・Type1:穴なし。
・Type2:誤消去防止爪の横に穴がある。
・Type3:Type1と同じ。
・Type4:Type2に加えて、底面の中央に穴がある。
ということは、例えばハイポジションの穴をふさいでカセットデッキに装填すると、カセットデッキはそのカセットテープをノーマルポジションと誤認識します。その結果どうなるかと言いますと、高音が出るようになり、僕の大好きな音質になります。この音質は一般的に愛される音で、過去に何度か実験しましたが、多くの人が「音がいい」という感想を持ったようでした(多少ノイズが目立ちますけども)。
「ナリアガリ・トライアングルVol.1」には、もちろんマスターテープがあります。DATテープで、「ナリアガリ・トライアングルVol.1 マザーテープ」と呼んでいます。そういった2チャンネルマスタをマルチトラックレコーダ(MTR)から作成する際、ある程度MTRで音質を補正しますが、それをさらに良い音にしたいと普通は考えます。しかし、僕はそういう機材を持っていませんでした。そこで、上記の手法を使いました。「マザーテープ」をいったんハイポジション(メタルポジションだったかもしれません)のカセットテープにコピーした後、そのカセットテープの底面の穴をふさぎ、カセットデッキにノーマルポジションと認識させて高音が出るように仕組み、別のDATにコピーしたのです。このDATを「コピー(複製)用マスタ」と呼んでいます。
過去、「ナリアガリ・トライアングルVol.1」は何十本かコピーしました(2回以上聞いた人はいないかもしれませんが(笑))、それらはすべてこの「コピー(複製)用マスタ」からコピーしたものです。今回の「10周年記念MP3」もこの「コピー(複製)用マスタ」からエンコードしました。